地球流体電脳倶楽部について       地球流体力学の現状


地球科学と計算機科学は仲良し

計算機の父フォンノイマンが,弾道計算の次に挑戦したのが 「天気予報」であったことからもわかるように, 地球科学と計算機科学の関係は非常に古く,非常に深い. 計算機の出現によって, 流体の基礎方程式を複雑な境界条件のもとで解くことが可能なったばかりでなく, 実験,観測の自動化,データ解析など, 観測から理論まであらゆる局面で計算機が使われている. 最近ではインターネットの普及により, データの流通にも革命が起こっている. このように,地球流体力学にとって, 計算機はなくてはならない存在である.

多角化の時代

情報化時代をむかえ, さまざまな情報が比較的容易に手に入るようになってきた. これまで,専門家でないと入手不可能であったようなデータも インターネット経由で容易に入手できるようになってきた. 一方で「環境問題」に代表されるように, さまざまな要素が絡み合った問題に何らかの回答を出すことが, 社会から我々研究者に要請された課題でもある.

こうなると,もはや狭い専門のタコツボに閉じ籠っているわけにはいかない. おなじものを研究するにしても, 以前より広い視野と多角的な視点を必要とする時代になったのである.

研究教育の空洞化

このような時代の変化にも関わらず, 研究教育の現場はどう見ても逆向きに動いている.

まず,全国の大学の教養部が廃止されたことにより, 大学は専門学校の色彩を強めている. 研究の現場においても「研究成果」を求めるあまり, ますます専門化する傾向にあるばかりか, 短期的な視点で効率的な研究に重点がおかれ, 長期的視野に立った研究がおろそかにされる傾向にある.

その結果, 各分野に必要な基礎的知識や技術の蓄積,整理,伝承といった 地味な仕事が軽視され,将来の研究基盤の構築が進んでいない. すなわち現在の研究活動は「既存の知識を食い潰す」ことによって 成り立っているのである.

このような情況では, 他分野の情報を理解して, 広い視野で研究することなど夢のまた夢であるばかりか, 一つ一つの専門分野の将来も非常に暗い. 地球流体電脳倶楽部はこのような現状を強く憂慮している.