2011/07/05 の dcmodel ネットミーティングのメモ書き
参加者
- 北大
- 石渡 正樹, 杉山 耕一郎
- 神戸大
- 林 祥介, 高橋 芳幸, 西澤 誠也, 納多 哲史, 井谷 優花, 黒田 美紀, 河合 佑太
- 九大
- 中島 健介
次回日程
- 日時
- 2010/08/02 (火) 14:00-18:00
- 場所
- 神戸大 : 自然科学 3 号館 508
- 神戸大 : ポートアイランド 3 階サロン
- 北大 : 理学部 8 号館コスモスタジオ
- 九大 : 理学部 3 号館 3605
正二重面体格子大気モデル IGModel プロジェクトの紹介 (河合)
はじめに
IGModel プロジェクトとは
- 正二重面体格子を用いた全球大気大循環モデルを開発している
- NICAM の開発歴史が教科書
- Tomita et l (2001)
- 以下はこれから見ていく予定
- Tominta and Satoh (2002)
- Satoh (2002)
- Tomita and Satoh (2004)
- ...
- 地球流体電脳倶楽部上でプロジェクトを展開
- web ページ: http://www.gfd-dennou.org/member/ykawai/work/IGModel.htm
- 電脳製品 (主に gtool, gphys) を活用する
- dcmodel の開発スタイルの良い面を踏襲する
- NICAM の開発歴史が教科書
- なぜ正二重面体格子をやろうと思ったのか? (石渡)
- スペクトルモデルの従来の問題 (高解像度で計算コスト高) (河合)
- 格子点法でも緯度経度座標では, 極問題があるため
- 興味として数値モデルが作りたいということもある
- スペクトルモデルの従来の問題 (高解像度で計算コスト高) (河合)
- 正二十面体モデルは今や珍しくないので研究成果にはならない, ということを認識しておいた方がよい (高橋(芳))
- 全球非静力モデルを目指している
- 何を計算したいと思ったのか (石渡)
- 日本特有の豪雪のようなシミュレーションがしたいと思ったのがきっかけ
- 日本海の雲の計算がしたいのなら, 正二十面体からスタートすると先が長くなるだろう (中島)
- deepconv を使うと普通にできるだろう
- 日本海の雲の計算がしたいのなら, 正二十面体からスタートすると先が長くなるだろう (中島)
- これを計算したくてこのモデルを作りました, という順番が理学的研究では普通, ということは認識しておいた方がよい (高橋(芳))
- 理学の世界では, 数値モデルを作ることは世の中からあまり評価されない
- モデルを作るだけなら scientist ではなく technician だと言われるだろう (高橋(芳))
- 計算科学としての研究にはならないのか?
- 最先端の計算科学にだとかしていないので, そうとは言えないだろう (石渡)
- 日本特有の豪雪のようなシミュレーションがしたいと思ったのがきっかけ
IGModel プロジェクトの構成
- 3 つの sub プロジェクトで構成されている
- IGMBaseLib
- 正二重面体格子 (icgrid) モデル作成において共通化できる昨日を提供するベースライブラリ
- Core Pack: icgrid の生成および管理. 基礎数学 (線形代数, 座標変換, 球面三角法). などを行う
- Utill Pack: 有限堆積法による微分演算子の評価. Icgrid 状の物理場の管理などを行う
- IO Pack: データファイル (netCDF 形式) の読み書きなどを行う
- 正二重面体格子 (icgrid) モデル作成において共通化できる昨日を提供するベースライブラリ
- IGMTool
- IGModel を実際に使う時に有用となるツール群
- icgridgen (各種正二重面体格子作成ツール)
- 格子のデータだけを作る
- igmconvert (データ形式変換ツール)
- icgridgen (各種正二重面体格子作成ツール)
- IGModel を実際に使う時に有用となるツール群
- IGModel 数値モデル群
- IGModel-SW (正二重面体格子全球浅水モデル)
- 目指すは「正二重面体格子全球非静力学コアの開発」
- IGModel-SW (正二重面体格子全球浅水モデル)
- IGMBaseLib
IGModel プロジェクトの構造
- IGModel プロジェクトの sub プロジェクトの階層構造
- ベースライブラリ, 補助ツールのレイヤー上で数値モデル群の開発が行われる
- データの可視化には gphys と paraview を用いている
- チュートリアル, ドキュメントの作成が必要
現在の開発状況 (進捗具合と問題点)
- IGMBaseLib, IGMTool
- 中核部分はほぼ完成
- 非静力学コアの開発に取り掛かるときに, もう一段階拡張が必要 (三次元化に伴うデータ構造の再考)
- 中核部分はほぼ完成
- IGModel-SW (正二重面体格子全球浅水モデル)
- ほぼ完成
- Williamson (1992) の標準実験を行い, 数値モデルの動作確認中
- TestCase1, 2 完了
- Tomita et al (2001) 等の結果と定量的に一致している
- TestCase1, 2 完了
- チュートリアル, ドキュメントの作成が必要
IGModel-SW テスト計算結果 (の一部)
移流実験の結果
- Williamson (1992) のテストケース1 (コサイン型をした高度場の移流実験)
- 初期場
- 速度場: 剛体回転
- 高度場: コサインベル型
- 運動方程式は無効, 連続の式だけ有効
- 速度場は常に初期場と同じ
- 計算設定
- 格子間隔: 200 km ぐらい
- 積分時間: 12 日
- 時間スキーム: アダムズバッシュフォース法
- 空間スキーム: 有限差分法
- 東西一様場
- 初期場
- Williamson (1992) のテストケース2
- 計算設定
- 水平解像度: glevel 4,5,6,7
- 積分時間: 5 日
- 時間スキーム: 3 次アダムズバッシュフォース法
- 空間スキーム: 有限体積法
- Alpha (回転球に固定されたデカルト座標の鉛直軸と剛体回転軸がなす角): 4 パターン
- 初期場
- 速度場: 剛体回転
- 高度場: 剛体回転している速度場に対して地衡流平衡を満たす
- 計算設定
非線形帯状地衡流の全球定常状態の実験
- 数値誤差の水平解像度に対する依存性を評価
- 正二重面体格子モデルにおける水平解像度と水平格子間隔の対応
- IGModel-SW と Tomita et al (2001) と比較
- よく一致している
- 積分時間が長くなると少し違うようである
- IGModel-SW と Tomita et al (2001) と比較
- 誤差の時間発展の特徴を細かいところまで比較する意味はあるのか? (納多)
- 時間経過しても誤差は増えない, 水平解像度の向上とともに誤差が小さくなるということを確認することが目的だった
- 正二重面体格子モデルにおける水平解像度と水平格子間隔の対応
まとめ
- IGModel プロジェクトでは, 正二重面体格子大気モデル群を開発している
- 3 つの sub プロジェクトで構成され, 階層構造をなしている
- ベースライブラリ・補助ツールは大方完成
- TO DO
- ドキュメンテーション
- 非静力学コアの開発に向けて, データ構造の取り扱い方の再考
- 並列処理モデル
- 移流の結果はところどころ負になっている (高橋(芳))
- ソースコード
- http://www.gfd-dennou.org/member/ykawai/work/IGModel_src_tree/IGModel/IGModel-SW/src/ 以下に置いている
- 出力結果の形式
- 非構造格子上の物理データ: NetCDF ライブラリの自作ラッパーを使って, NetCDF 3 の形式で出力する.
- それ以外のデータ: gtool を使用
- 非構造格子上の物理場データの可視化方法
- まず, 非構造格子にあったデータ形式に書き出す
- ヘッダーの雰囲気
- node = 2890: 球面状に実際に存在する格子点の数
- axis は属性としてない
- ヘッダーの雰囲気
- これを構造格子上の物理場データに変換して, lon, lat, axis を座標変数とした形式にする
- igmconvert を使用
- まず, 非構造格子にあったデータ形式に書き出す
- gtool はどこで使っている? (石渡)
- ユーティリティ部分で使用
- 当分は netCDF3 を使って変換しなければならないようだ