序文
Unidata(http://www.unidata.ucar.edu)はNational Science Foundationがスポンサーであるプログラムで、全米の大学にコンピューター及びネットワークの革新的な使用方法を提供することによって、大気及び大気関連のデータを最大限に利用し教育・研究に活かしています。そのようなデータを解析・表示するにあたってUnidata Program CenterはUniversity of Wisconsin, Purdue University, NASAおよびNational Weather Service等を含む他団体が開発したソフトウェアパッケージを大学側に提供しています。これらのソフトウェアに共通していることはデータをリアルタイムで取得し管理するUnidataが開発したシステムを使用していることです。このことによってUnidataの主張でもある、各地域に必要とされている各大学によるデータベースの独自取得・自己管理を実現することができました。重要なのはUnidata 計画がデータセンターを有しないことです。データ管理は「分担」される任務であるべきなのです。
このマニュアル中で紹介されているNetwork Common Data Form (NetCDF)ソフトウェアは、本来、数あるUnidataのアプリケーション用に共通のデータアクセス方法を提供する目的で開発されました。これらは定点観測・時系列・等間隔格子・衛星やレーダー観測等の様々なデータの種類を網羅しています。
NetCDFソフトウェアはI/Oライブラリとして機能し、C・FORTRAN・C++・Perl等のNetCDFライブラリが存在するすべての言語から呼び出し可能です。このライブラリは自己記述的マシン独立型のデータベースにデータを格納し、データベースからデータを取得します。個々のNetCDFファイルは多次元の定義された変数(整数・実数・文字・バイト等の複数の種類を含む)を含むことが可能で、さらにそれぞれの変数に従属的なデータ(単位・説明文など)を付随させることができます。このインターフェースは既存のNetCDFファイルにデータを追加することができ、機能的には(固定長の)記録方式と類似しているところもあります。しかしながら、NetCDFライブラリでは変数名・インデックスによってのみデータの直接アクセス格納や取得が可能であり、ディスク(もしくはメモリ)保存型のファイルにのみ対応することができます。
Unidataのソフトウェアの半分ほどは既にNetCDFアクセス可能になっており、今後、残りのUnidataのアプリケーションについても同様の共有性を持たせる予定です。それによって次のことが可能になります。
・ 異なるアプリケーションによる同一ファイルの共有
・ 異なるコンピュータ間における透過的な(変換の必要がない)ファイルの転送、もしくは共有
・ フォーマットの違いに対応するために必要とされるプログラミングの時間の短縮
・ データ、または従属的なデータの誤った解釈の防止
・ あるアプリケーションからの出力データを別のアプリケーションの入力データとして簡単に使用すること
・ Unidataシステムに新たなソフトウェアを導入する作業を容易にする標準を設けること
NetCDFは既にいくつか成功を収めています。現在ではNetCDFはCRAYからパーソナルコンピュータ、そしてほとんどのUNIXワークステーションを含むコンピュータのプラットフォームで幅広く使用されています。NetCDFを使っているコンピュータ上で(例えばFORTRANで)複雑なファイルを作成し、その同じ自己記述的なファイルを他のコンピュータ上(例えばC)で一切の変換なく取り出すことができます。NetCDFのファイルはネットワーク経由で転送したり、適切なネットワークファイルシステムを使用することによってリモート・アクセスすることも可能です。
Unidataソフトウェア以外のソフトウェアにおいてNetCDFアクセスを可能にすることはUnidataの利用者の利益に繋がると信じ、NetCDFライブラリをライセンスや重大な規制無く配布し、最新のバージョンをanonymous FTP経由で手に入れられるようにしてあります。このように自由に使えるようにすることによってUnidataの情報を解析・表示する手段の選択肢が豊富になると思われます。Unidataのソフトウェアは大気科学コミュニティー以外でも幅広く受け入れられているようで、現在では数多くのパブリックドメインや商業用データ解析システムがNetCDFファイルを読み込むことができます。
いくつかの組織でNetCDFはデータ・アクセス法の標準として採用されており、NCSA(National Center for Supercomputer Applications; University of Illinois at Urbana-Champaignと提携している)ではHDFファイル形式(NCSAで使用されているツールで使われる形式)がNetCDFプログラミング・インターフェースを支持する動きもあります。我々はこれらの動きを支持し、協力してきました。
NetCDFのソフトウェアがどれほどサポートされているのかという疑問が時々寄せられます。Unidataの正式な立場はNetCDFライブラリに添付されている著作権に関する事項にも述べられていますが、ソフトウェアはすべて‘as is(無保証)’で提供されています。実際には、ソフトウェアは随時アップデートされていくものなので、Unidataは当面、ソフトウェアを改良しつづける予定です。Unidataの目的は米国の地球科学者をサポートすることなので、それらの学会・団体より寄せられた問題点が最優先されることをご了承下さい。
ユーザーの皆様がこのソフトウェアを活用し、その活用法に関するフィードバックや改良点に関する提案を返していただけることを希望します。
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